仕事柄、団体や機関、行政のトップや代表と言われる人達の言葉を聞く機会が多い。

毎回聞いていて思うのは、「論点が違う」という強い印象である。

現に日本中で問題になっている「自治会の加入者減少問題」。

各自治会も行政も、減少に歯止めを掛けようと(意識だけは)必死になっているが、現状は全く改善されていない。

 

この要因は、多岐に渡るものの、要約して結論を言うとすれば「加入にメリットを感じない自治会の体制と活動に問題あり」。この一言に尽きる。

 

自治会に加入することにより受けられる恩恵(メリット)と、自治会に加入することにより支払わなければならない負担(デメリット)が釣り合っていないのである。

また、少なからず求められる自治会費の利用方法についても、知る人は少ないが自治会規模によってはウン十万といった金額が、特に自治会長や副会長に支払われており、まるで自治会長や副会長の年金として寄付しているのではないかと、錯覚せざるを得ない状況が、地方では散見される。

一部の自治会の役員に話を聞く機会があったが、「〇〇自治会の会長は、ろくに仕事はしないが、会長費はしっかりもらっている。自治会を改革するために会長職を退くよう要請したが、拒否され自治会内での関係が悪くなった」などという声も聞こえる始末である。

自治会長を対象にしたアンケート調査結果が一部の市町村で公開されている。彼らは報酬に見合った働きをしているのか、分析をしてみたことがある。

結果から言うと、答えは「体力や能力に欠けており、非効率であるにも関わらず、ろくに働いていないのに報酬を貰いすぎている」である。自ら答えたアンケート調査で「月に10時間以下」しか活動していないと回答しているにも関わらず、年間で「50万円以上」の報酬を受け取っていると回答している。これは最低の年間50万円でも、時給換算で4,200円程度にも達する。

多くの自治会長の年齢帯は60歳以上であるという調査結果から、彼らの体力や能力を考えると、ほとんどの作業をかなり非効率で行っている可能性が高い。これらの自治会長が行っている業務をアウトソーシングした場合、どれほどの費用を圧縮できるのかは想像するに容易い。

もはや、自治会は一部の自治会員における利権団体といっても過言ではない。このような一個人の利権団体にも近い民間団体のどこに、魅力があるというのか。甚だ疑問である。

 

要因はこれだけではないが、このような魅力のない自治会活動や体制を継続しつづける限り、自治会加入者の増加など夢のまた夢であるが、現自治会のほとんどは自らの体制や取組を見直し改めることはせず、悪化していく現状に「未加入者が悪い」「行政が悪い」と声を大にして叫ぶだけである。

これが一般市民であれば、「まぁそういう事を言う人もいるだろう」で済む話だが、場所によっては各団体の長が、「未加入者問題は、強制的に自治会に入る様に行政が指導していかなければならない」などと発言する機会も多く見られ、古き体制と考え方を変えようとしない考え方に、ただただ飽きれるばかりである。

豊富な経験があり、多くの人に対してリーダーシップを発揮しなければならない人物であるにも関わらず、現状を把握できていない認識不足と、現実を見ようとしない現実逃避の考え方に信じられない思いである。

そのような時は、私も出来る限り発言し「今のままでは、いずれは自治会制度が崩壊する日が必ずやってくる。これに備え、自治会の加入・非加入に関わらず、住民が共に支え合う地域作りを行う必要がある」と伝えるようにしている。

それでも、会議で避難の的になるのは「未加入者」「行政」「国」であり、何らかの改善が起きる兆しは見られない。

 

現在の自治会には、自らを再生する力はもはやほとんど残っていない。今後、さらに衰退の道を進み、いずれは消滅といった結果が待ち受けているのみである。

ただ、人は老いるほど一人では生きていけないのも確か。

老いた時に頼れる何かを確保するために、様々な方面における幅広い横の繋がりを確保しておくことが、少子高齢化になりつつある今の日本に住んでいる我々には求められている。