台風の影響により河川の氾濫が発生し、9人が遺体で発見された岩手県岩泉町のグループホームが 「10分余りで水かさが上がり、逃げられない状況になった。この辺は濁流だった。最後まで宿直職員が利用者を抱えていたが息を引き取ってしまった。9人を助けられず大変申し訳ありません」と謝罪するという事がありました。

理事によると、死亡した9人は全員がグループホームの入居者で、うち4人は、自力での避難が困難な重度の認知症だったそうです。
グループホームでは、夜間は9人の利用者に対し、50代の女性の職員が1人で当直対応をしていて、女性職員によると「30日午後5時半ごろにグループホームの中に水が入ってきて、あっという間に腰ぐらいの高さまで上昇し、入居者はベッドごと持ち上げられた」との事です。

= 感じたこと =

介護のボランティアをしている身として、個人的に非常に気になったニュースでした。現在、夜のボランティアで8人の入居者を1人で介護していますが、「30分以内に全員を自力で非難させないといけない」という状況になった場合、まず無理だと思います。

事前に避難するか、公共サービス(警察・消防)に支援してもらう等しないと、恐らく介護レベルの低い入居者1名もしくは2名を守るのが精一杯でしょう。

介護職を経験したことがある人なら分かると思いますが、介護を必要とする高齢者は、移動にかなりの時間が掛かります。緊急時において、今いる建物から隣の建物に移動し、移動させた利用者の安全を確保してから元の場所に戻るだけで1人当たり10分~15分は掛かるでしょう。

痴呆があればなおさらで、痴呆を持つ高齢者はすぐ前に起きた事や、今そこにいる理由すら忘れてしまいます。一人で避難先に避難させたとしても、痴呆を持つ高齢者をその場所に置き去りにすると、勝手に出歩いてしまい、転倒ならまだしも災害に巻き込まれるなど二次被害を引き起こしかねません。

このニュースの事故当時は、恐らく水位が上がりきるまで15分も掛からなかったと思われます。男性でも手こずる相手に50代の女性がどこまでやれるかなど、十分想定できるはずです。

また、この建物は河川のすぐ近くに建設されていたようですが、建設・運営に伴って行政が許可を出したのであれば、『問題無し』という判断がされたということであり、設置場所に問題があるとは思えません。

仮に当直の職員が2名いても、状況は変わらなかったでしょう。それぐらい突発的な災害であったと想定できます。

 

今回のケースは、あえて言うのであれば「避難勧告」や「避難指示」を出さなかった行政側の問題ではないかと思われます。台風に慣れていない東北地方であるとはいえ、危険性があるのであれば「避難勧告」ぐらいは出すべきでした。事前に避難さえしていれば、防げた問題であったと思われます。

ただ、介護を必要とする高齢者の避難については、避難先の施設設備等が整っているか等も重要な点となってくる為、事業所側も簡単には「避難勧告が出たから避難」という訳にはいかないでしょう。

今後、行政の支援の元、行政と事業所が一体となって防災意識を高め、災害時の介護を必要とする高齢者の受け入れ態勢を整えていく事が求められています。

 

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